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マトリックス レボリューションズのpikaのレビュー・感想・評価

4.0
3部作で一番回数見てないから久々どころか新鮮な感動があり、記憶以上に良かった。前半のザイオン死守戦争の多場面カットバックがめちゃ面白い。個人的には画面処理がキレイだと思えて見やすかったしロゴス号が到達するまでの緊張感がとてもよかった。シンプルながらも迫力十分で場面転換がとてもスムーズなので見ていて楽しい。ベテランの大将から実戦初心者のキッズ、夫の帰りを待つ妻まで様々な人物の視点で前線を見せている構成もとても面白い。クライマックスのような派手な展開はこれがそうだとなると既視感もあり多少の物足りなさが残ってしまうが、この後にメインディッシュが来るんだというテンションを上げていく盛り上がり展開としては凄く良い。

この時代のハリウッド大作でこんなに多彩な人種を揃えているのは珍しいんじゃないかと今更ながら改めて感じた。世界を描く物語なのだからこうあるべきというところを大事にしている丁寧さが良い。
予言者との問答しかり台詞も素晴らしい。概念が凄く面白い。それが画面に直接的に反映されてないところは残念だけどウォシャウスキーの哲学が迸っている。『機械に愛が?愛は人間のものだろう』『ただの言葉さ。ここにいる目的というだけだ。君と同じだろう』とガンガン本質を見せていく。

戦争だけでなくマトリックス内のアクションも凄く良い。地下駐車場やクローク、フランス人たちとの攻防も。前作はなんだったのか。『リローデッド』と『レボリューションズ』は同時に作っていたから兄弟(当時)で別れて作っていたのかと勘ぐる。
トリニティとのシーンはうんざりするほど長いのに対スミスの導入がかなりあっさりなのは残念。エネルギー波を目で見せるために雨を降らせたのはスロー処理にも効いているし雷雨での陰影もムード満点で他作との差別化もあり面白い。しかしカメラは単調で、斬新にしようとした結果か見づらい面も。
マシーンシティで一度雲の上に出るシーンやネオ目線での光の中、バトル後のネオの処理等『風の谷のナウシカ』っぽかった。笑
16歳のキッズは今見るとアンドリュー・ガーフィールドに空見する笑。『ハクソーリッジ』だったか『沈黙』あたりで坊主になっていた覚えが笑

改めて見たせいかオチはこれでいいじゃん!と思えた。むしろシンプルで良い。壮大な話のようでいて覚醒めてる側の人類は少ないし、主要人物が最初から絞られていることに齟齬がないからすんなりいける。スミスのくだりはかなり映画的なご都合主義感はあるが、だから映画じゃん?っていい意味で擁護したくなる。最初からアクション映画を通して作り手の哲学語りたいがために作った映画なのだからアリだろう。ウォシャウスキー側としてみれば渾身の結晶なんだと思う。観客側は別の物を求めていただけで。

さて4はどうなるのでしょうか。
ウォシャウスキーの映画が好きなので何にせよ作ってくれるのなら嬉しい限りですが、個人的には新作が見たい。改めて見直してこれで終わりってキレイにまとめてるじゃんと思ったし、コケ気味だから新作だと予算が集まらない&昨今のハリウッドのリブートリメイクブームによるプロデューサーからの依頼なのかなとか色々勘繰ってしまう。『マトリックス』からファンになっているけどまさかこんなに寡作になるとは思わなんだ。生涯期待してます。
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