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初恋・地獄篇のbrianのレビュー・感想・評価

初恋・地獄篇(1968年製作の映画)
3.9
不幸な生い立ちのシュンとヌードモデルをやっているナナミの出会いと別れを描いた青春映画。

昭和らしい重くて切なさだけが残るストーリー。時々、浪曲や歌謡曲やクラシックが流れて場面の空気を変えていくのはほんの束の間。

人間誰しも大なり小なり重荷を背負って生きている。それを忘れるように現実的に人と出会い、今だったらネットを通じてコミュニケーションを図ったりする。完全無欠の人間なんていやしないんだ。

シュンとナナミの一挙手一投足に心を傾けてみた。
催眠療法を受けて過去の記憶がよみがえるシュンの表情が辛い。
ナナミは性に対して開放的。しかし、裸で商売をする姿が辛い。

脚本は羽仁進と寺山修司が共同で書いている。ドキュメンタリーや隠し撮りや8mmフィルムなどを使い、どの場面が羽仁か寺山かを推測しながら鑑賞するのは面白かった。

ポスターを手がけたのがグラフィックデザイナーの宇野亞喜良。アングラかつ前衛的でエロスに溢れており、この作品に相応しい見事な出来栄えである。
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