むーしゅ

ラブソングができるまでのむーしゅのレビュー・感想・評価

ラブソングができるまで(2007年製作の映画)
3.4
 Marc Lawrence監督&脚本でHugh Grant主演のラブコメ、といういつもの感4部作の2作目。原題"Music and Lyrics"はそのままの意味では無く、楽譜の作曲者と作詞家を書く欄の決まり文句"Music and Lyrics by~"から取っていると思うので、邦題を付けざるを得ないわけですが「ラブソングができるまで」というより、邦題でありそうな「ラブソングのつくり方」とかでもいい気がします。

 80年代に国民的スター"PoP!"のボーカルとして活躍していたが現在はすっかり忘れ去られてしまったアレックスのもとに、人気歌手のコーラから楽曲提供の依頼が舞い込んでくる。アレックスは早速作詞家の作品を基に作曲を始めるも気持ちが乗らず行き詰っていると、たまたまアルバイトで植物の世話をしに来たソフィーの鼻歌に才能を感じ、作詞家として楽曲製作に加わるよう依頼をするのだが・・・という話。架空の人気バンドPoP!のMVから始まる作品ですが、ロマンティック・コメディの帝王は何処へ・・・と感じるほどもう一人のメンバーコリンにかっこよさで惨敗しているHugh Grant。と思ったら、相手役Scott Porterは映画初出演で公開時27歳らしく、公開時46歳のHugh Grantとは19歳差。そう考えるとやっぱり帝王ですわ、若いです。ちなみにDrew Barrymoreは31歳なので、なかなかの歳の差カップルですね。

 この作品の見どころは、そのままですがHugh GrantとDrew Barrymoreですね。さすが数々のラブコメに主演してきただけあり、二人とも余裕すら見せるレベルでの演技力。どちらもキャラクター自身を好きになれる人間味を感じる仕上がりなんですが、どこかで見たことがあるようなキャラクターでもあり、二人とも良いけど二人とも普通。期待通りでしたが期待以上ではないというのが率直な感想です。主演二人のどちらかが役者として未熟だと、奇妙な化学反応が起きるのかもしれませんが、もうそれぞれにワールドが出来ているので特別侵し合わない関係性。どこかで見たことがないシーンといえば二人が唄っちゃうことくらいでした。ちなみに2人が唄う歌"Way Back Into Love"がなかな良い曲でこれは良いシーンですね。Drew Barrymoreは歌い慣れていない雰囲気がキャラクターにあっていて、Hugh GrantとのオクターブユニゾンではHugh Grant側が合わせにいっている雰囲気もあって良かったです。ちなみに最後ちょこっとハモりますが、Hugh Grantが必死すぎるので、もうちょっと音聞いたほうが良い感がありますがまぁご愛嬌ということで。とにかく貴重な歌唱シーンが素敵でした。そういえばHugh Grantはこの作品の撮影中に「パニック障害」と診断されて、精神安定剤を飲みながらの撮影となったと公開当時話題になっていましたが、そんなことを感じさせないところもさすがの役者魂ですね。

 さてそんな見たことある映画感なのは、物語がまぁ物凄く平凡なことも起因しています。冒頭で思いついたエンディング通りというか、わかりやすすぎて逆に驚くくらい想像通りの結末でした。唯一驚いたのは曲の完成が意外と早いことくらいでしょうか。邦題「ラブソングができるまで」に引っ張られた感はありますが、中盤で曲が出来上がることに衝撃。だから冒頭に書いたように邦題を変えたくなるわけです。それ以外は、そろそろ喧嘩するよね、ほらしたね、みたいな、思っている通りのストーリー。ただ王道が見たいときもあると思うので、王道ラブコメディに飢えたときに見たら期待通りの結果を得られるということでしょう。意外性を求めてはダメ、それが鑑賞前のポイントですね。

 Marc Lawrence監督作品は4作全部Hugh Grant主演でしたが、次回作"Nicole"は5作目にして遂に「ピッチ・パーフェクト」シリーズでお馴染みAnna Kendrickを主演に迎え、脱Hugh Grant作品です。まぁHugh Grantもさすがにお歳なので、Marc Lawrence監督もHugh Grantも是非違った路線で頑張ってほしいですね。
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