あなぐらむ

白昼の女狩りのあなぐらむのレビュー・感想・評価

白昼の女狩り(1984年製作の映画)
3.0
2012年まで封印されていた、さしずめ曾根中生版「十三人連続暴行魔」か。

なぎら健壱の一党(鬱屈した男性性の象徴)が、恐らくは幸福な80年代を謳歌する男女への憎悪から犯し、殺しまくる様を描いた乾ききったロマンポルノ。成田闘争(調べてください)を思わす飛行音。ヒロインにのみ愛慕を寄せるなぎらだったが、新しい時代を生きる彼女に逆襲される事となる。

加来見由佳扮するヒロインが新宿西口に車で乗り付け、M16を乱射するラストが強烈。「天使のはらわた 赤い教室」で堕ちていく一方だったヒロイン像は、80年代には男性原理に反逆の意思表明をするのだ。
ロマンポルノの男性観の変転を、本作は図らずも描き出した。男たちがどこかごっこ遊びのように拉致・監禁、殺人を行っていく様が苦笑を呼ぶ。

日活の社長交代に絡んでお蔵入りした本作は、元々は谷岡ヤスジが監督する予定だったそうだ。ぱっと見ると70年代と80年代では、ロマンポルノの「血筋」が明らかに違ってる。テイストも「軽く」なってる。
「残酷!少女タレント」以外に目立った活躍のなかった加来見由佳はほんとに可哀想だが、この映画が曾根監督の映画で、しかも80年代にあるのはポイントだと思う。
なお、テロップ提供はまだ「てっぽうや」時代の納富さん。ガバメントとM16(綺麗に排きょうしてる!)が出てきます。