裏を返すと、とても優しいクリスマス作品。
表はというと、アンハッピーで切ない。
クリスマスを家族と幸せな気持ちで過ごせる人はいったい何割ぐらいいるのだろう。仮に半分として、この作品は残りの半分の人にスポットを当てた群像劇。寂しい人や家に帰れない人に寄り添っているので、ハッピーな展開じゃないけれど、観終わって優しい気持ちが押し寄せます。
紛争中の国の人、年老いて病床にある人、ホームレスの人、離縁されて孤独な人、不倫している人、仕事が忙しい人、宗教上の理由でクリスマスを祝えない人…
最初と最後のシーンがつながるのがよかった。命の誕生とオーロラに神秘を感じました。
キリスト教の子がイスラム教の子につく優しい嘘も素敵だった。
帰りたくても帰れないクリスマス。寂しいクリスマス。誰にでもクリスマスはやってくる。
ノルウェーの凛とした空気が伝わってくるような夜を舞台に、ベント・ハーメル監督ならではの悲哀と優しさとユーモアで仕上げられたクリスマスムービーでした。