てつこてつ

グロリアのてつこてつのレビュー・感想・評価

グロリア(1980年製作の映画)
4.0
レンタルビデオ時代から通算して3回目の再鑑賞。前回観てからも十数年は経ってると思われるが、何度見ても色褪せない傑作。

男性と女性の違いだけでなく主役のキャラ設定は大きく異なるが、あれだけヒットした「レオン」が自分にそこまで刺さらなかったのは、やはりこの「グロリア」を初めて見た時の強烈な印象が自分の中には強く残っていたからだと思う。

このタイトルジャケットにもある、きちんとカールされた金髪でフェミニンなスカート姿ながらも銃を構えるヒロイン像がとにかくカッコイイ。

演じたジーナ・ローランズが醸し出す上品な渋さやアウトローな雰囲気もたまらない。

メガホンを取ったのは、彼女の旦那様でもある名脇役としても活躍した故ジョン・カサヴェテス。この二人がタッグを組んだ他の作品群も素晴らしいので、機会があればまた再鑑賞したい。

ジュリアーニ前NY市長就任した90年代の治安の大改革で、今でこそ、ニューヨーク(特にマンハッタン)は観光客が深夜に出歩いても危険を感じない程安心感がある街となったが、この作品で描かれる80年代の、ギャングが街中を闊歩し、落書きだらけの地下鉄等、かつてのちょっと荒んだ感あるニューヨークの情景がどこか懐かしい。

ジーナ・ローランズの顔のアップのシーンで、ケイト・ブランシェットと同じ系統の顔をしているなあと気づき、自分自身、こういった目ヂカラと強い意思を感じさせる顔つきが好きなんだなあと改めて思ったが、ジーナ・ローランズは唯一無二の存在。

確か90年代終わりにシャロン・ストーン主演で本作のリメイクが作られ劇場で観ている筈だが全く印象に残っていない事から、個人的には全くハマらなかったのだと思う。この作品は、ジーナ・ローランズがタイトルロールを演じていたからこそ成立したと言っても過言ではない。

80年代らしい、ちょっとムーディーな音楽の使い方も心地いい。
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