アメリカの田舎町に暮らす一家で、前日に起こった激しい嵐により大きな被害を受け、妻のステファニーを残して買い出しへ出掛けた夫のデヴィッドと息子のビリー。買い物中に街は徐々に霧に包まれ、それに乗じた謎の虫型巨大生物の襲撃にパニックに陥る店内。絶体絶命の状況に理性を失う人々の中で足掻く親子を描いたSFホラー映画です。
「心霊現象やモンスターなんかの不可解な現象はもちろん怖いけど、本当に怖いのは人間だよね」というテーマの作品を多く執筆するスティーヴン・キングの小説を原作に、『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』で実績のあるフランク・ダラボンが三度キング原作作品の監督を務め、その救いのない物語が賛否両論を巻き起こしました。
人の持つ根源的な恐怖心を煽る虫型エイリアンに徐々に理性を無くしていく人々の有様やフラストレーションが募る程に緊急事態に足がすくみ瞬時の対応が取れない登場人物達の描写には悲しいまでのリアリティがあって息が詰まります。それが衝撃のラストを引き立てていて人生における選択と結果の報われぬ因果関係に愕然とする一作です。
