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ミストのrensaurusのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
4.3
人の認知能力の限界と、それにも関わらず選択をしなければならないことの残酷さを思い知らされる作品。

人はその本能から、目の前に起こっている事象に意味付けを行わずにはいられない。今作では、ただの霧だとしてクリーチャーの存在を受け入れない隣人黒人弁護士のグループ、目の前の現実から得られる情報で行動を起こそうとする主人公グループ、聖書に基づいて超自然的な解釈を行うカーモディおばさんグループの大きく三つのグループに意味付けの相違から分断され、対立している。

その中でも建設的に自ら考えて行動を起こした主人公の選択が、最後の最後には最悪の結末を導いてしまうという構造が、共に行動していたような視聴者にとってこの上なくやるせなくなっている。

この監督は、「ショーシャンクの空に」などで希望を持ち続けることの大切さを説いてきた人物だが、本作では、人間はどうしたって希望を失ってしまうこともあることや、不条理な結末があることを提示し、因果律や意味の不確かさを主張しているように感じる。

希望を持つ心。諦念で構える心。どちらを持っていたとしてもいずれは苦しまなければならないということを、胸に強く迫られた。
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