如月カルラ

ミストの如月カルラのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
3.8
有名作すぎて今まで観たつもりになっていて未視聴だった作品。
出てくるクリーチャーが現世界に存在する動物や虫に近い姿をしつつも異世界感がしっかりあってよかった。
巨大な馬のようなクリーチャーの造形好き。

主人公がそれなりに出来る人物なんだけど、主人公ならではの万能感がなく、判断ミスもするし犠牲者もそれなりに出る。
ラストの展開もあって、胸くそ映画だーうわー鬱展開!と思ったけど、とある方から別解釈を教えてもらって、ストンと腑に落ちた。
「最初にお店を出て行った女性が主人公。ミスト本編はその他のスーパーに残った人たちのその後を描いたスピンオフ作品」という別解釈、めちゃくちゃ納得が出来てしまった。

主人公、最初にお店を出て行った女性、2人の運命をわけたのは何だったんだろう。
どちらも家族に対する愛があったし、主人公は残ったみんなを助けたい気持ちが間違いなくあって行動もしていたけれど報われないのが本当に悲しい。
主人公の最後の彷徨、女性と目が合った瞬間の表情、くず折れるのもわかる。

とりあえず宗教狂いの女性はとっても好きになれませんでした。
でも救いがなく恐怖がまとわりつく閉鎖空間で起こる、宗教が生まれゆく瞬間は興味深かった。
人間は何かに縋らないと生きていけない。主人公も「妻は生きている、帰らなければ・息子を守らなければ」という思いに縋っていたのかもしれない。
如月カルラ

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