冒頭の古典落語「抜け雀」をモチーフにした夢がさっそく面白い。
さらに、オープニング曲のドラマにも寅さんと村人との会話(声)を生かしたパートの挿入など、それまでにない演出にもグッとくる。
人間国宝を演じる片岡仁左衛門をはじめ、
いしだあゆみの美しさと、今や重鎮の江本明の共演も見逃せない。
そして、劇中半分を過ぎても、寅さんがなかなか柴又に帰ってこないのも、これまでにない珍しいパターン。
昭和の情景や、寅さんに心を奪われるいしだあゆみシなど味わい深い名シーンもたくさんある。
寝たふりの寅さん、天涯孤独で、しかし自由人な寅さん
粋な寅さんカッコいい。
「困った時はお互いよ」
「いずれは割れるもんや、焼きもんは」
「あれは旅先の寅さんやったんやね」
「満男お前もいずれ恋をするんだな、可哀想に」
個人的に、シリーズ中ベスト5に入る傑作。
