カリカリ亭ガリガリ

恐怖の足跡 ビギニングのカリカリ亭ガリガリのレビュー・感想・評価

恐怖の足跡 ビギニング(1955年製作の映画)
5.0
「悪夢的シュルレアリスム映画として満点ではなかろうか。完璧。悪夢の映像化としては『イレイザーヘッド』よりも成功しているかもしれない(笑) どのシーンを観ても、ああーこいつ映画マニアなんだろうなーと小っ恥ずかしくなる。ブニュエル、ドイツ表現主義、怪奇映画、オーソン・ウェルズへのリスペクトが随所に散りばめられ、しかしそう言った一見小っ恥ずかしいオマージュやパスティーシュのそれぞれを自作に落とし込む手腕が甚だ見事で、こういうのを映画的運動神経と呼ぶのだと感じる。オーソン・ウェルズにそっくりな大富豪を出演させてるだけで小っ恥ずかしいし、そやつが美味そうにフライドチキンを食べるのがまた可愛い。忘れ去られるには勿体無さすぎるケッサク。ところで、星空で映画が始まるのは同年公開の『狩人の夜』と同じで、こういうシンクロニシティーが起きてることも恐ろしい。あと一瞬映り込む犬に”見てしまった”とめっちゃびっくりする」