菩薩

ラブ・レターの菩薩のレビュー・感想・評価

ラブ・レター(1998年製作の映画)
4.2
これは一つの集大成なのかなとも思うがおそらくそうではなく、それよりも森崎東の作品はどこかで地続きとなっている事の証明であり、何より監督自身が「人間」を見つめ続けて来たのだと言う何よりの証拠なのだと思う。偽物の夫婦、偽物の結婚指輪、偽物の職業、偽物の人生、彼女が生きてそして死んだ偽物の「美しい国」、それが日本の本当の姿であり、彼女の「愛しています」だけが本物だなんて悲しすぎる。果たされない「再現」と二度と交わされない「謝々」、誰だって遠い異国で一人ぼっちで寒さに震え暗闇で怯えながら死にたくなんて無いだろう、中井貴一の「人一人死んでだよ!」の慟哭が心を直撃する。指輪のリング部分だけが残ってるってのは、分かっちゃいたけどあの指輪が単なるガラス玉くっ付けただけって言う証明になるんかな。北海道でしかもゴロウさんて、もう北の国からじゃないですか。俺が爆泣きしただけかもしれないけど、これ観て泣かない人類おるんか…?いたとしたらそれはもう人間として大事な何かを失っているって事なのでは…。山本太郎、役者に戻りなよ、眉毛全剃りが似合ってるよ。
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