滝和也

ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃の滝和也のレビュー・感想・評価

3.0
腕白でもいい
たくましく
育ってほしい。

古いCMのコピーだが、
その時代性を巧みに
切り取っている…
それを地で行く児童映画

「ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃」

遅れ馳せながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。本年スタートは子供達に向けたゴジラシリーズの一本から…。

前年の怪獣総進撃でゴジラシリーズを終了しようとしていた東宝でしたが、その興行収入の高さから継続を決定しました。監督には引き続き本多猪四郎、特技には円谷英二があたっていますがあくまで監修。(公開年に確か亡くなっている。)子供向けの東宝チャンピオン祭りと称された数本の同時上映を行う企画の一本としたために、児童映画としてのゴジラであり、圧倒的な低予算である事が見て取れます。

小学生の一郎君は鍵っ子(両親が共働きで家に帰っても1人であるため鍵を持っている子供のこと)。気も弱くていじめられっ子だった。そんな一郎君は夢で怪獣達に会えることが楽しみだった…。

ゴジラ達が登場するシーンは全てが小学生一郎君の夢と言う設定です。故にミニラはサイズが一郎君と同じ大きさから、10m代に変化しますし、喋ります(笑)

またミニラと一郎君は友達の上に、立場も同じ。いじめられてる。怪獣島にもいじめっ子がいて…新怪獣ガバラ登場。ミニラは一郎君の応援とゴジラパパの厳しい特訓で立ち向かいます。そのストーリーが一郎君の現実と連動して行くのが、この作品の肝でグーニーズ的な児童映画として良くできている所です。気の弱いいじめられっ子にエールをこの時代らしさで贈ってますよね。

この時代のいじめっ子はガキ大将なんですよね。陰湿過ぎない。ストレートなんです。故に勇気を持ってぶち当たる事でいじめをやめるし、友達にもなれる…。まぁ勇気を持ってぶち当たるのはストレートにケンカで挑むか、彼を助けるかなんです。その辺りは今では肯定されないかもしれないですね。でも昔は父親が勝つまで帰って来るな!なんて当たり前だし…ゴジラパパもその通りだし(笑)

この話自体…昔自分にもあったんです。小学生の頃かな。学年1のガキ大将にある日、立ち向かったんです。取っ組み合いの喧嘩。その後、彼にいじめられることはなくなり…。高校の頃かな、父親の見舞いでバスに乗ってたら偶然会って、凄い心配してくれていて…。今でも覚えてます。

この作品を見て、そんな事を思いだしてまして、故に当時の子供たちにはエールになってた可能性があるなと思い、2点台は止めました(笑)確かにガバラ以外のシーンは全てが流用ですし、新撮部分も特撮は…、大人の鑑賞には耐えられない。でも確かに児童映画としては、その時代性に合っているし、切り取っていると思います。

ゴジラシリーズの多面性を表してる一本だと思います。ゴジラの顔は一つにあらず。これもゴジラ。全制覇をしたい方にはこの辺りを頭に置いて見てほしいですね(^^)
滝和也

滝和也