みんと

ルシアンの青春のみんとのレビュー・感想・評価

ルシアンの青春(1973年製作の映画)
4.0
ルイ・マル監督の戦争ドラマ。

実在した人物を題材に描くコチラもまた映像美溢れる作品。ナチスとフランスレジスタンスの戦いに巻き込まれるルシアンと、彼が恋した少女との悲恋を描いていく。

う~ん、余韻が深かった。と言うかラストカットからのクレジットのかぶせ、思いもよらない結末に心を持ってかれた。

第二次世界大戦末期、一人の若者の青春を淡々と映しているだけのように見えて 実は知らないうちに着実に波に呑み込まれて行く。
若さが、浅はかさが、自覚も考えもないまま長いものに巻かれるように。はたと気付いた時には眩しいはずの青春が......

主演は23歳の若さで亡くなったピエール・ブレーズ。今作限りの映画出演が何とも惜しい。瑞々しさの中に少年の悲哀を見事に演じていた。そしてナチス占領下でも演奏を続けていたギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの楽曲が劇中で使用されている。


タイトルから受けるイメージよりもうんと暗く重く、ナチスのユダヤ人迫害に対して違ったアプローチで負の側面を描いた名作だと思う。
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