ブルースたかぎ

エイリアン4のブルースたかぎのレビュー・感想・評価

エイリアン4(1997年製作の映画)
3.8
久しぶりに見ました
過度にグロテスクでウェッティです
常に濡れてて、なんかヒタヒタしてる
私は小学生の頃、本作を何度も観てました
そらこんなサイコパスなるわ

エイリアン3の公開から長い時間が空いての続編ですが、劇中でも200年という歳月が流れています
製作された時代柄なのか、科学が発展したクリーンな未来というよりは
ブレードランナーのような錆が目立つ清潔感のない未来という世界観

3で死んだリプリーの細胞からクローンを作成し、3当時のリプリーが孕っていたエイリアンの作成に成功した模様
クローンって同じ遺伝子を持った人を作ることだよね?
リプリーのクローンなら体内にエイリアンは宿ってないはずだから、クローンというよりは、3当時のリプリーを再現し複製した感じなんですかね
その過程でエイリアンの遺伝子が混じってしまった本作のリプリーは血が酸性で、超人的運動能力を有しています
そして動きがいちいち気持ち悪い
シガニーがかわいそうに思えるほどの仕草で、逆に言うとシガニーの演技素晴らしいということ
で、今回鑑賞して思ったのは、本作の味噌はそこなのかなと
醜いが直向きに生にしがみつく
このことに関しては後述します

リプリーと行動を共にするベティ号のクルーが個性あって良い
盗賊か傭兵のような素行の悪い連中なのですが、劇中は仲間思いの行動や命を粗末にしないなど良い奴らに見えます
これは敢えてそうなのか、深く人物像を描いてないのか
人物像のミスマッチは他にも
エイリアンの兵器利用を目論み繁殖させていた黒幕ペレス将軍
靴をきれいに磨き、エイリアンが脱走した際自ら先陣切って部下兵士を避難誘導していた
普通悪の将軍なら我先に逃げようものだが、彼は部下を脱出ポットで逃し、自らはポット排出作業に従事
救えなかった部下に対し敬礼まで行う上官の鑑のようなおっさん
最後は脳みそを喰われ死んでしまうのですが、エイリアンを兵器に用いたくさん人を殺そうとしていた人の人物像としてはミスマッチ

本作期ってのヒロイン、ウィノナライダー
かなりきれいです
黒髪ショートで透き通る目
シザーハンズの時より美しい
そんな彼女は実はアンドロイドで、血液が牛乳です
人間の都合で作られ、人間の勝手で処分される運命であった彼女は処分される前にエイリアンの陰謀を知り、自ら中止すべく危険極まりない行動に出たのでした
自らを廃棄しようとしていた人間を、危険を犯してまで救おうとする彼女は献身的過ぎ
利己的な人間よりも素晴らしい人格なのに、自らがアンドロイドであることを嫌悪してる

最後はリプリー
オリジナルのクローンであり、オリジナルの記憶を継承しているものの、オリジナルはすでに死んでいる
さらに、自分には怪物の遺伝子まで混じってしまっている
自分という存在はいったい何なのか
とても複雑な心境であろう(そこに迷う描写はあまりないが)

矛盾だらけの行動をとる登場人物たち
人物像を深く描写するつもりはなかったのか、はたまたそこには深い意図があるのか
なんたって本作の監督はあの名作ファンタスティックラブロマンス「アメリ」の監督ですからね
何らかの意図があるのではないかと

兵器登用しようと繁殖させていた化け物に食い殺される
化け物使ってたくさん人を殺そうとしていた軍人が命を張って部下を助ける
化け物の宿主用の人間を民間船から強奪してまで軍に売り飛ばした倫理のかけらもなさそうな盗賊一味が仲間の命を守るため命を賭し、挙げ句の果てに売り飛ばした人間を生かそうと奮闘する
醜く強いというだけで自分のことを母親と慕う化け物を自らの手で殺め、死にゆく様に涙する人造人間

時に利益のため、時に他者のため
一筋縄ではいかない矛盾の塊
それが人間

全体的に人間の身勝手さや愚かさを表してるのではないでしょうか
人間の醜さは本質的な欠陥ではあるがそれでも直向きに生きる
生きるしかない
それが人間であると
人間型のエイリアンが粉々になって宇宙に放出される際、最後に残った髑髏が人間のものに似ていたので、皮肉っぽく見えました

まぁそんな深い描写はなく単にグロく描きたかっただけなのかもしれませんが、私はそのように感じました

CGエイリアンの動きが良く、しかしCGに頼りきりでなくきちんと着ぐるみも用いていて素晴らしい
エイリアンの造形がかなりカッコ良い

とにかくウィノナライダーがきれいです
ロンパールマンの撃ち方がハマります
カメラワークが全体的に厨二病で良いです
このシリーズ一行が地球に降り立った後の話も描いて欲しいな