鹿shika

ドッグヴィルの鹿shikaのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
4.5
山の上にある孤立した村”ドッグウィル”。ある日町野から美しい女性がギャングに追われていると逃げてくる。閉鎖的な村だったが村の中心人物である青年トムが村人らを説得し、女性グレースを受け入れるが、、

仕事で見る機会があったので見てみました。
ニコールキッドマンの怪作ですな。相変わらずラースはフォントリアーしていたよ。
そしてこんなに尖った映画を初めてみたかもしれない。
内容は普通だけど、撮り方にラースフォントリアーの色が濃く出ていて、最初は「なんだこの前縁的な映画は!生意気だぞ!」と鼻につく感じだったけど、
気がついたら終わってるくらい引き込まれてたからやっぱりすごいんだな。
178分が一瞬に感じる映画はそうそうないからな!

舞台とか演劇とかが好きな人は、めっちゃ好きだと思うし、
そうじゃなくても1つの舞台上で178分間、場面変換もないのに工夫がされてるのが膝を打つんだよ。

村の住宅地の話なのに、家も壁もドアも広場もないのだよ。
そして床にその場所の名前が書いてあるだけというね、、
だから、こっちではご飯を食べてるけど、こっちではトイレしてたり。
好きな人が自分を思ってる時に、見えるところで強姦されたり、、
まあとにかく工夫がすごい!!丁寧に考えられたんだな〜とね。

最初に「尖った映画だな〜」って皮肉言ったけど、
多分予算的な問題だったんじゃないかね?
低予算でこれだけのものを作れるクリエイターって、果たして彼の他にいるのか?
Marvelもスピルバーグもノーランも凄いけど、使える予算が半端ないからね。

そして受け入れてくれる村人たちも良いし、人間の汚いところが露出していく様も完璧。
そして圧巻のラストが素晴らしい。
何も演出はないけど、黒い煙がグレースを包んでいくようにも見れる。
とにかくすごい!凄いしか言ってないけど、とにかく凄いんだよ!!

そして相変わらず文学的でな。映画冒頭のこの語りが好き。

「少し失望したトムは考えるためにベンチに座り、
しばし危険な気分に身を委ねた。だが時期にお気に入りの空想に没頭していった。
頭の中で彼の考えは、記事や小説に姿を変え、聴衆がトムの言葉に耳を傾ける。」

でもこれを小説にできないって思わせられるのが、ラースフォントリアーのすごいところ。
やっぱあいつすげーわ!この映画は結構自分の中で上位!
鹿shika

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