木蘭

恐竜・怪鳥の伝説の木蘭のレビュー・感想・評価

恐竜・怪鳥の伝説(1977年製作の映画)
3.6
 僕たちはこんな恐竜(怪獣)映画が観たかったんだ!

 1977年制作という、好景気と社会不安、伝承と科学が融合した正にオカルトな70年代まっただ中に制作された娯楽作。
 戦後の高度成長期が一息つきつつも、未だ近代以前の気風も日本列島に残る時代を表現するのに、富士山とその山麓はピッタリの舞台。

 そんな富士五湖と樹海で太古の眠りより目覚めるハリボテ感満載の恐竜たち・・・しかも海竜と翼竜で正確には恐竜じゃないんだよな・・・が、湖畔の観光イベントに現れて、動物を、そして人を襲い食いちぎり、最後は富士山も大爆発!
という当時の恐竜・怪獣、ネッシー(クッシーって未だいるのかな?)といったUMAブームに乗っかった動物パニック物に、デザスター物まで盛りつけた意欲作。

 学界からつまはじきにされた異端の学者が出てきたり、科学者が一目見て(何の根拠も無く)「あれはプレシオサウルスだ!」とか言ってしまう辺りは、怪獣映画の様式美も忘れない。
 村長の容姿やポンコツっぷりは『仁義なき戦い』の山守親分を思い起こさせるし、どこから手に入れたのか大量の機雷を消防団が無許可で湖に投下して恐竜をあぶり出そうとしたら、案の定、逆襲されて不注意で大自爆!とかも・・・ああ、往年の東映だな・・・とホッコリさせてくれる。

 特筆すべきは渡瀬恒彦が熱演する主人公が、口げんかの末にヒロインの頬を往復ビンタしたかと思ったら、はぁ?何言ってるの?ってな妄言を吐くのに、相手もカーッとなって素敵♡ってなるシーンが見所。ああ、'70年代ですね。
 世界を股に掛けた大企業に勤めているのに、跳ねっ返りで、やんちゃで無軌道、ついでに女にもてる・・・というキャラクター造形も'70年代っぽいのですが、この後、日本の白亜紀とも言うべき爛熟した'80年代を経て、こういう種族は"島耕作"というダイナソーに進化していくのでしょう・・・やれやれ。

 ところで・・・ランフォリンクスは何処に行ったの?
木蘭

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