Polly

欲望の翼のPollyのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
3.7
自分にとっては人生が激変するほどの大きな出来事であっても世界視点で見るとありふれた出来事であって、実際登場人物みんなが他人に同じことをしている。特別な点なんて何もない。主語を入れ替えて人は同じことを繰り返す。すれ違って、ちょっとだけ交わって、また離れていく。でもヨディとスーがあの1分を忘れなかったように、世界にとっては些末な出来事でも、その人にとっては世界の全てになりうることだってあるのだ。これは一文目のポジティブな言い換えです。
『ブエノスアイレス』『花様年華』『恋する惑星』『天使の涙』、そしてこの『欲望の翼』と着々とカーウァイ作品を観てきたけど、彼の作品に通底しているのってこの観念なんじゃないかなと感じた。
あと男って結局母親以上に愛せる(憎むという感情も含む)女っていないんじゃないか?とつい苦笑してしまった。ヨディにしてもタイドにしても母親が全ての起点だし。
「夢で会おう」のヨディと「眠れば気分も晴れる」のタイドの地味な対比(意識してるかは不明)が良かった。そりゃ前者のほうがモテますわな。。という気持ち。
あと冒頭のキスシーンが素晴らしかったですね。映画の好きなキスシーントップ3に入るかも。
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