aruka0263

欲望の翼のaruka0263のレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
4.4
王家衛監督の作品には古典的な3幕構造が崩れていて、起承転結なストーリーよりもその場の質感や色、登場人物の心情がメインに感じる。端的に言えばスタイリッシュ。苦手に思ってしまう人もいる監督だと思う。

葛藤を抱えた登場人物たちが、満たされない憧れと行き違いによって互いを傷つけてしまう美しくも儚い映画だった。1960年代の香港の倦怠感のようなものが伝わってくる。降り頻る雨や、照らす光、影などシネマトグラフィーの点でも印象的な映画。夢とも現実とも似つかない、その狭間の様な作品。
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