津軽系こけし

名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

4.2
役割


👓劇場版名探偵コナン第7作
👓初のデジタル作画作品
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正直、コナン映画は「ベイカー街の亡霊」で完成されてしまったと思っていた。二面性のある舞台設定、世襲性に対するメッセージ、何よりシャーロックホームズとの対面によって事実的なコナンドイルへの回帰を果たした。
他の映画でこれを例えるなら、西部劇にクリントイーストウッドを出してしまうようなもの。そんなことをしたら続編なんかはなにをしても無駄だ。私は「ベイカー街」をコナン映画の最高点だろうと断じて、続編になかなか手を出さなかった。


今作は、今までコナン映画の監督を務めたこだま兼嗣の最後のコナン映画だ。以降は別の監督に渡ってゆくわけだが「ベイカー街の亡霊」のあとにコナン映画を作るとなると敷居は高い。
その点今作は素晴らしいバトンパスを魅せてくれた。

京都というシチュエーションでの殺人事件。京都の小ネタを事件に交えたこのシナリオは、今後のコナン映画でも旅行モノの雛形として基盤にすることができる。この映画の型を引用すれば、名古屋版、奈良版、海外編といくらでも題材が生まれる。

加えて今まで焦点が当てられなかった服部平次にスポットが当たることで、彼のレギュラー化が固くなった。コナンが工藤新一になるというありえない展開の前例も作り、少年探偵団の役割の定型化、毛利蘭とのロマンスもしっかり扱い作品としても完璧に仕上げあげた。

あとコナン映画を、サスペンスモノからサスペンス”アクション”にしたのも今作が最初ではないだろうか。銃での緊張の駆け引きは今までもあったが、こんなゴリゴリのチャンバラを見せてくれるとは思わなかった。バイクのチェイスも3Dモデルを駆使していた。

007スカイフォールから007スペクターへの変化のような…そんな雰囲気を感じる映画です。

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👓まとめ👓
今日までコナン映画が進化を続けているのは、今作が作りやすいコナン映画の定型を示してくれたからではないだろうか。コナン映画の今後に可能性を感じさせてくれる一作だった。次の劇場版が楽しみだ
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