あおは

名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)のあおはのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

迷宮の十字路は、ベイカー街の亡霊と並んでいちばん好きなのではないかと思う作品。
この作品が放つ和風とミステリーが融合したオーラが好きなのだと思う。それと、ラストの盛り上がり。今回の100万ドルの五稜星を観たときも思ったけれど、服部は探偵よりも侍をやっているときのほうがカッコイイ気がする(笑)。

ストーリーを把握できていると余裕ができるから、映像を広く観られる。すると今まで気づかなかったことや、久しぶりに観たから現在のコナンの比較して変わったことなど、色々と気づくことがあって、そこも楽しかった。
まず、コナンが変声機で新一の声を出しながら蘭と電話している初めのシーン。駅前の公衆電話からコナンは電話をかけているが、このとき背後に映るカフェの名前がホームズからきている。221B coffee shop。今まで気づきもしなかった。コナンはこういう小ネタが散りばめられているから観るたびに発見があっておもしろい。
白鳥警部と綾小路警部が同期だったとは完全に忘れていて、なかなかの衝撃だった。
また、歩美ちゃんが哀ちゃんのことをまだ灰原さん呼びで、今の哀ちゃん呼びにもう慣れていたから少し違和感があった。歩美がなかなか哀ちゃんと呼べなくて葛藤する回をもう一度読みたいなと思った。

今作の最初のアクションシーンは鞍馬寺で服部が犯人に弓で打たれそうになるところ。
コナンが寸前で気づいて回避し、犯人は逃走。これをコナンが軽快なステップで追っていき、その姿に服部が一言。
「牛若丸みたいなやっちゃなぁ」
たしかに(笑)。コナンはいつも牛若丸みたいな軽快な動きで翻弄しているかも。
このあとバイクでのチェイスが始まるが、ここで何か新しい技術を導入したのか、妙に立体的で映像的な違和感を覚えた。

おっちゃんも相変わらずの迷探偵ぶりをかまし、綾小路警部を犯人だと疑い、そのリスに八つ当たりするかのようにキレるところは情けなくて何度観ても笑える。

そして、今作の個人的な見どころはやはりラストの山場。
攫われた和葉を服部が1人で助けにくるが、その関西弁はいつもと少し違う。
「探偵やらしたら天下一品やけど、侍としてはイマイチやな」
黒塗りした新一が服部のフリをしていた!?このあと小さくなるために身を隠す新一だが、その直前に蘭と会う。やっと会えたねという蘭の言葉。好きな人に会えるということがどういうことか、この言葉とその言い方にすべてが詰まっていて、涙が出てくる。
もしも服部が色黒ではなかったら、コナンは最後に新一がいたという事実を蘭に伝えることができなかったのかもしれない(笑)。
今作のもうひとつのポイントとして、服部の初恋の人が誰なのかという点も挙げられる。ミスリードとして千賀鈴が配置されているが、本当は和葉だった!? 服部は千賀鈴が初恋の人だと思い込み、おっちゃんの千賀鈴が犯人だという推理には初恋の人が犯人なわけがないというアホな理論で対抗するほどに思い込んでいるが、確信は得られずにいる。それも1つ引っかかることがあり、初恋の人は「まるたけえびすにおしおいけ。よめさんろっかくたこにしき」と間違った詞を歌っていたが、千賀鈴は「まるたけえびすにおしおいけ。あねさんろっかくたこにしき」と正確な詞で歌っていた。これが服部の中で引っかかっており、本当の初恋の人が誰なのかはこの時点では分からない。
この明かし方もタイミングがすごく巧い。追い詰められた服部と和葉の前に巨大な箪笥が現れ、このどこかに刀を隠してあるということを和葉が思い出すが、引き出しの量が多すぎて、すべて確認している時間はない。しかし寸前で2人は京都の通りの名前から引き出しの名前を取っていることに気づく。ここで和葉が手毬唄を歌う。
「まるたけえびすにおしおいけ。よめさんろっかくたこにしき」
この瞬間、引き出しの場所が分かり妖刀ムラマサが服部の手に渡ると同時に和葉が服部の初恋の人だと明かされる。
和葉が初恋の人だというところもいつも泣ける。蘭も和葉も健気に新一と平次を想いつづけているから、どうなか報われてほしいと心の底から思う。
屋根の上での服部の戦いも痺れるほどかっこいい。
毒つきの短刀を犯人が出してきてかなり追い詰められはするが、コナンのアシストもあり、見事に犯人を服部が討ち取る。
「義経になりたかった弁慶か。あんたが弁慶だったら義経は安宅の関で斬り殺されてんで」

最後にずっと訳ありな感じで映されていた住職がすべて持っていくところもとても良いのです。
義経と弁慶みたいで2人はいいコンビだと住職だけがコナンと服部の関係を認めているところも、住職には深みがある感じがする。
義経と弁慶。
コナンと服部。
お互いに義経の立場を取り合うことになりそうだけれど(笑)。
あおは

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