イチロヲ

トゥリーズ・ラウンジのイチロヲのレビュー・感想・評価

トゥリーズ・ラウンジ(1996年製作の映画)
4.5
ラウンジに入り浸っている無職の酔いどれ中年男が、急死した伯父の遺志を継ぎ、アイスクリーム・トラックに乗り込む。俳優スティーヴ・ブシェミが監督・脚本・主演を務めている、ヒューマン・コメディ。

端的に言うと、「社会に順応することができない人間(破滅的な日常を歩んでしまう人間)」の種々相を描いている作品。"負の作用をもつ共依存関係"からの脱却がモチーフに含まれており、脱却できない人間の代表格として主人公が登場する。

本編ドラマでは、無職になり恋人を奪われた主人公が、自暴自棄に陥りながら、他者との交流劇を展開。主人公と接触する人物は、妻から別離を言い渡されているアルコール依存症の男、反抗と孤独に苛まれている思春期の少女など。

前向きになれない者同士が、酒を飲んで、ヤクをキメて、踊るだけの慰め合いを繰り広げる。ラウンジに引きこもる男性陣と新天地に出立しようとする女性陣の対比。普遍的なダメ人間讃歌にシンパシーが刺激させられる。
イチロヲ

イチロヲ