チッコーネ

13号待避線より その護送車を狙えのチッコーネのレビュー・感想・評価

2.5
ヘッドライトに照らされた道路表示が『キッスで殺せ』を彷彿とさせるように、米ノワールの背景を日本に置き換えたようなスタイリッシュさは期待通り。
特に墓場の追跡場面が面白い。
本職ぽいストリップ嬢の舞台場面や、街角で騒ぐアプレ女の生態演出には生々しさも宿る。
タンクローリーを活用した場面は大作的ですらあったが、脚本と編集の連携はイマイチ。
そもそもふたりの囚人はなぜ殺されたのか、ストリッパーはなぜ誰に殺されたのか。
水島道太郎/渡辺美佐子それぞれの登場後に、凡庸なロマンスをねじ込んだことで演出の一貫性が失われ、大いに混乱が生じている。
これはもしかすると外圧のせいなのかも。

『人身売買』だと「映画だから」と流しがちだが『からゆきさん』という単語が出てくるとさすがにびっくり(たまたま前日に『サンダカン八番娼館』を観ていた)。
60年当時でも、御殿場あたりには極貧の地域があったのだろうか、それとも言葉が形骸化しているのか。