ルサチマ

みかへりの塔のルサチマのレビュー・感想・評価

みかへりの塔(1941年製作の映画)
4.8
戦中に制作された数少ない清水宏作品の一つだが、感化院を一つの国家の物語として見てみると、問題児たちを「立派な大人」=「兵士/良妻」へ育つことを正しい教育として、親は絶対だとする天皇制についての側面が競り上がってくる。この映画を清水宏の戦後の子供映画の文脈で、子どもに寄り添った優しさがあるとするのはかなり盲目的だろう。
この映画の終盤、肉体労働としての土木作業で責任者が全く姿を現さないという面も現代につながるトップ(昭和天皇)の無責任さを問うもので、この辺の描き込みは慎ましくも確信的。ただやはりこの手の話であれば肉体労働を軽やかに抜け出してストライキを起こす子供達の革命を高らかに見たい。ヴィゴの『新学期・操行ゼロ』の子供達の姿と裏表の関係でこの映画を見てみると面白いかも。
ルサチマ

ルサチマ