垂直落下式サミング

エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.2
前作から2年後、またしても死んだはずのフレディが復活。夢を自在にコントロールする「ドリームマスター」の力を持った少女が悪夢に悩まされるが、次々と友人を殺されたことで、夢のなかでフレディに決闘を挑むことを決心する。人気ホラーシリーズの第四作目。
これまで、フレディの住む悪夢の世界は主に薄暗い空間で、顔の特殊メイクも火傷の痛々しさを強調した造形だったため、よく伝わってはこなかったが、今回はヴィジュアルの大仰さに振りきれておりフレディのコミカルさがよく表現されている。
今回のフレディは、特殊メイクの光沢が抑え気味になって肌艶がさっぱりしており、さらに「楽しい夢」にでもずけずけと入り込んできて日中活躍する場面が多くなったことで、その表情をしっかりと確認できるようになった。
フレディの顔をハッキリと見ることで気付いたのは、やはりこのシリーズはロバート・イングランドの表情豊かな演技力あってこそ成り立つものであって、彼が演じる「フレディ・クルーガー」の唯一性を改めて意識させられた。目を細めながら口角を上げる表情や、いたずらにおどけてみせる仕草ががチャーミング。人を殺しておいて捨て台詞を吐く不謹慎さが80年代映画の主人公らしい。
ここへ来てコメディホラーとしての位置付けが確立されてきた感があり、ナースにジョーズに透明人間にと、幅広くコスプレをこなす芸達者っぷりで、次はどんな格好で出てくるかとワクワクさせてくれる。もちろん、本筋はスラッシャームービーではあるが、かといって痛々しい残酷描写に傾いているわけでなく、悪夢のイメージにどこかしら先進的なアメリカンアートの臭いを漂わせている。
見所は武装シーン。死んでいった仲間たちの形見を身に付けた主人公アリスが、殺人鬼との最終決戦に挑む姿は、さながらコマンドー!気弱な女子だった新主人公アリスが、見事な肉弾戦で悪魔の殺人鬼に拮抗していく。
今回の新キャラがたっている一方で、前作の思い入れは蔑ろにされている感は否めない。以前の惨劇を生き残ったキャラクターたちを途中退場させるのはいいが、それにしてはちょっと時間をかけすぎな気もする。
前作で成仏したはずのフレディが犬のションベンで復活するのもなんだかなぁだし、メインの兄と妹の関係がなんかシスコン・ブラコン気味なのも気持ち悪かったが、兄の見様見真似で繰り出した妹の跳び蹴りが超かわいかったので、僕はすべてを許した。
一先ずウォーターベッドで夢精したい。