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イルマーレのdeenityのレビュー・感想・評価

イルマーレ(2001年製作の映画)
3.7
職場の方に韓国恋愛映画に詳しい人がいたのでお借りしました。自分はこのジャンルについては疎いのでありがたい。
キアヌが主演でハリウッドリメイクもされてるみたいですが、本作がオリジナルみたいですね。特にイ・ジョンジェが主演ということで悪い顔してないイ・ジョンジェ見たさに気になったわけですが、ヒロインのチョン・ジヒョンは『猟奇的な彼女』のあの子だったのね。その辺りも嬉しい誤算で期待値は高めでした。

ストーリーを一言で言えば、タイムパラドックスと恋愛を合わせたSFラブストーリー物。「イルマーレ」という海辺のお洒落な一軒の家のポストが何故か2年の月日をまたいで手紙のやり取りを可能にするという、まあ何でやねんというツッコミこそ入れたくはなるのですが、そこはご愛嬌ということでグッと我慢。とか言いながら細かいことが気になる質でして、尚且つ恋愛物は冷めた目で見てしまうもんですから作品相性としては悪かったんだと思います。

とはいえ意識的に割り切って見ると素敵な作品でしたね。浜辺の家が何よりロマンチックで、ちょっと霞がかった雰囲気がえも言われぬ感情にさせられます。
ただ何であんなぐちょぐちょの中でサッカーやってんのかは謎ですが笑まあ、油断するとすぐに冷めたコメントが出てきそうなのでその辺りは割愛します。

やはり手紙というアナログな手段がまたいいんでしょうね。『バイオレット・エヴァーガーデン』が流行ったのもその要因はあるでしょうし、これだけSNSが発達した時代ですが、だからこそ手書きの、それでいて相手に届くまでの時間がかかる、既読かどうかもわからない、あの煩わしさを知っているからこそ手紙1通の温かさを理解できるわけで、これは今の若者世代はどう感じるんだろうかと気になってしまいました。

まあでもこれがロマンチックだと思えるのは映画だからこそなんですけどね。そりゃあんな美男美女同士だからこそ素敵なだけで、現実だったら相当やばい。と、どうしても冷めた考えは捨てきれませんが、一気に現実に引き戻したのはこの作品にも原因はあります。
あのラストシーンはないでしょう。だからそれをやったらもうストーカーだって。もしくはやばい奴だって。運命云々で片付けたら美しいんでしょうけど、本当に美しいのは会えない時間に高まり合った相手への愛であって、それをなかったことにするようなラストにはせん方がよかったんじゃないですかね。または互いに何も知らない状態スタートでいくか。

ああ、どうしても愚痴っぽくなってしまいますが、そこまで悪いとは思ってません。むしろ素敵だなと思う演出もたくさんありましたし、殊に相手を思って設計を学んだ感じとかはよかったです。ただ一つだけどうしても気になっているのは、あの場合コーラは増殖するってことでいいのかな?笑
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