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硫黄島のqqfowlのレビュー・感想・評価

硫黄島(1959年製作の映画)
4.0
時代は1951年、主人公は新聞記者。ある晩居酒屋で酔っ払いに絡まれる。翌日その片桐という男性が社を訪れ、「自分は硫黄島の生き残りで、このたび当時の日記を取りに島に戻ることになった。それを記事に書いて欲しい」と言うが…

事実からインスパイアされた芥川賞受賞作「硫黄島」(菊村到、1957)の映画化。ミステリー仕立てになっていてとても見応えがあった。後から小説を読んだら、大筋は同じだが細部が変えられている箇所が主に島での回想シーンに幾つかあり、個人的には原作のほうがすっきりしていていいと思った。

それでも、硫黄島がアメリカに取られ、日本が敗戦した後、数年間も島に潜伏し続けた兵士がいたという事実を知れたのは良かった。

本作で語られた島での出来事や登場人物のキャラクターはフィクションかと思うが、説得力があった。モラルの壊れた戦場を経験して日常に戻り、平和な日常の道徳感で戦場を振り返ったらと想像すると、つらい。

トラウマを抱えた人がその場所に戻りたくなるのはよくあることなのだろうか。
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