佐藤克巳

指導物語の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

指導物語(1941年製作の映画)
5.0
国鉄で35年間勤務のベテラン機関士丸山定夫と10年間勤務の機関助手北沢彪が、陸軍鉄道連隊の機関特業員二等兵藤田進に熱気溢れる指導を行い、藤田の人間的成長を促し無事出征する迄の感動ドラマを、熊谷久虎監督が爆走する蒸気機関車を奮闘する人間に例えてダイナミックなスペクタル映画の傑作に仕上げた。戦時強まる中、国民の高揚感は最高潮に達しようとしていたが、本作は国策プロパガンダ映画では断然無い。丸山は残り3年で退職を前に兵隊の機関士訓練を切望し、母一人の小学校卒藤田が当てられた。一方の機関士には、思想に耽る学士卒二等兵中村彰が当てられたが、中村が不熱心で事故を引き起こし負傷する。中村は自分の誤りに改心し、藤田と激しく競い合い技術向上に励んだ。丸山は、長女原節子、次女若原春江、三女三谷幸子と共に藤田を家族同然に向かい入れた。遂に二人に出征の命令が下り、丸山宅で祝勝会が催された後、豪雨の中藤田の母が訪れ、翌日、将兵の出征列車を街中の人々の見送る中、藤田の母がプラットフォーム一杯迄駆け足で見送ると、席立つ様に機関士達が駆け出し列車を追走するのだった。
佐藤克巳

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