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デルタ・フォース2のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

デルタ・フォース2(1990年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

南米サンカルロスの麻薬シンジゲートのボス、ラモン・コタの摘発に失敗した連邦麻薬取締局は、デルタフォースのスコット・マッコイ大佐の協力で彼を捕えるにことに成功するが、裁判でラモンは仮釈放になり、逆にマッコイの部下チェベス少佐が殺され、3人の麻薬捜査官が捕虜としてラモン一味に捕えられてしまう。

主演は元軍人で武術家のアクション映画界のレジェンド、チャック・ノリス。
米軍の対テロ・ゲリラ特殊工作部隊デルタフォースの活躍を描くアクション・シリーズ第2作である。
本作は80年代後半から90年代前半にかけての麻薬戦争が題材。
地元政府や軍関係者も買収しているビリー・ドラゴ扮するラモンは実在の麻薬王パブロ・エスコバルがモデルだろう。

国際問題やら名誉毀損やら多方面に忖度して、悪いのか?それとも正義なのか?悪党の存在意義があやふやになりつつある現代のアクション映画と比べると、実にシンプルに極悪非道な悪党を倒すのが、今見ると逆に新鮮。
「脳筋」とか「タカ派」と言われようが、痛快なアクションの佳作である。

マッコイ大佐は相棒のチャベス少佐と家族ぐるみの付き合いをしていて、息子のバスケの試合を一緒に観戦するほど平和を日常を楽しんでいた。
麻薬犯罪の悲惨さを目の当たりにする訳ではないが、この平和が壊されることによってマッコイの怒りが爆発することになる。

麻薬取締局に協力することになったマッコイとチャベスは、なんと強引にも飛行機で移動中のラモンの身柄を確保。
パラシュートなしでラモンを機外に放り出し、札束が舞い散る中、マッコイがフリーフォールして空中でラモンを回収。
洋上で待つ部隊にアメリカに護送する。
現在ではついぞ見られない生身の空中スタントは大迫力だ。

前作同様のチャック・ノリス無双の映画なら、悪党は墜落死で終わりなのだが、本作は麻薬捜査に協力する身でラモンを逮捕。
法を守るノリスが意外だ。
大人になったものである。

だが、アメリカの裁判では証拠不十分として保釈金1000万ドルという呆気ない判決で閉廷。
そんなものはラモンにとってはした金。
無罪放免で麻薬王を世に放つのと同じだ。

この判決にキレたチャベス少佐はラモンを法廷で殴るが、その後、ラモンによる報復が始まり、チャベスの妻子が殺される。
無謀にも報復に走ったチャベスは麻薬捜査官とともにラモンに捕まり、チャベスが毒ガスで処刑される映像がアメリカに送り付けられる。

アメリカ大統領はデルタフォースに捜査官救出を命令。
友の死で怒りに燃えるマッコイはテイラー将軍から許可を得て、単身サン・カルロスに潜入する。
命令を待つマッコイが部下に稽古をつけるシーンはもはや八つ当たり。
ノリスの空手技と関節技のオンパレード。
いかに生身で強いかが良く分かる。

ラモンに夫と子を殺されたキキナの道案内を得て、マッコイがラモンの屋敷に潜入する件はまるで「ランボー怒りの脱出」。
素手で険しい山を登り、単身に乗り込むノリスにランボー並みの活躍を期待してしまうが、さすがに救出が任務のため派手に破壊はできない。
マッコイは捜査官救出後、ラモンの部下と格闘戦を展開するが、大勢の銃口を前に捕らえられてしまう。

チャック・ノリス単独での無双とはならない中、一人気を吐くのがデルタフォースのトップ・テイラー将軍。
マッコイからの情報に隊員達と共に攻撃ヘリに乗り込むと、ミサイルをコカ畑に撃ち込み、機銃掃射で敵兵を一掃。
マッコイが囚われているのに「これくらいでは死なん」とラモンのアジトにもミサイルをお見舞い。
同行する地元政府の役人が「勝手に攻撃しないでください」と非難しても、将軍はガン無視するのが笑える。
次々と敵を壊滅させるのが何とも痛快。
火薬量も一気に上がる。

本来はチャック・ノリスが担当すべき破壊と殺戮という役割をテイラー将軍が担う。
一方、助けた麻薬捜査官によって救出されたマッコイは、ラモンを捕えて防弾使用のラモンのリムジンで逃亡。
銃弾やらバズーカやら飛び交う追っ手の猛攻に合う。
手下はボスを助けたいのか?車ごと破壊したいのか?
こちらも火薬増し増しのカーチェイスだ。

終いには加勢に来たサンカルロス将軍が乗ったヘリを、テイラー将軍のヘリが後ろからミサイルで撃ち落とす。
現実なら国際問題になりかねない米軍万歳。
だが証拠を握った以上、全世界の敵である麻薬犯罪の撲滅に何の遠慮がいるだろう。
やっちまえー!と応援したくなる。

ラストはテイラー将軍のヘリがマッコイとラモンをロープで救出しようとぶら下げて飛んで行く。
あちこちぶつけながら上昇はスタントマンが痛そうだ。
そこでラモンが悪態をつく。
「俺を訴えても、また金を積んで出てきてやる。お前たちの苦労など無駄だ。アメリカを麻薬漬けにしてやる。」
業を煮やしたマッコイがラモンのロープを切り、ラモンはそのまま地表に落ちて行った。

法を守ってラモンを殺さずに身柄を確保したり、麻薬捜査官の救出を優先して破壊行動をしないノリスは、アクション映画ファンには物足りないかもしれないが、隠密行動のため銃ではなく体術がメインで見られる。
やはり、軍隊出身でしかも本物の武術家はマッチョなヒーローとは動きが違うと再認識。
その代わり、破壊欲求の不満はテイラー将軍が解消してくれる。
ある意味、ちゃんとした役割分担だ。

ビリー・ドラゴ扮する悪役ラモンもキッチリと憎たらしい。
爬虫類系の顔でやることは殺人か脅迫のみという徹底ぶり。
人間らしい掘り下げた描写など全く無し。

そもそも特殊部隊があんなに派手に破壊して良い訳がない。
リアリティは無く、ツッコミどころは相当多い。
だが、悪党を倒す痛快さが本作にはある。
細かいことは(チャック・ノリスには)無力だ。
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