ゴン吉

日本侠客伝 昇り龍のゴン吉のレビュー・感想・評価

日本侠客伝 昇り龍(1970年製作の映画)
4.0
高倉健による任侠の世界を描いた「日本侠客伝」シリーズの第10弾。
高倉健が主演、藤純子がヒロインを演じ、鶴田浩二、中村玉緒、片岡千恵蔵、遠藤辰雄、伊吹吾郎、荒木道子らが共演。
山下耕作が監督を務める。 
原作は読売新聞に連載された火野葦平の史実を基にした小説で、何度も映画化やTVドラマ化されている。本シリーズでも前作「日本侠客伝 花と龍」に続き二回目の映画化であるが、前作とは内容が独立したリメイク作品で、監督も異なる。

大正半ば頃の北九州が舞台。若松の石炭仲仕の小頭・玉井組の玉井金五郎(高倉健)は新しく小頭の連合組を立ち上げようとするが、従来の共同組の友田(片岡千恵蔵)と対立し、武蔵温泉で行われた花札の博打の帰り道で襲われて重症を負う。たまたま賭場で札をさばいていた女賭博師で刺青師でもある女侠のお京(藤純子)が通りがかり、瀕死の玉井を匿い、自分の血を輸血したうえ看病する。その際に玉井の左肩に渾身の刺青“菊を加えた昇り龍”を彫り込んだ。玉井は若松で用があったため、残りの右肩に彫る予定の”下り龍”は後日彫ることをお京に約束して若松に帰る.... 

任侠の世界に生きる高倉健と藤純子の禁断の恋を中心にストーリーがすすむ。
クライマックスでは、知人を次々と殺された玉井を演じる高倉健が友田の屋敷で大立ち回り。
渋い高倉健に対して藤純子は映像がよく映え、作品に華を添える。
終盤で病床のお京が最後の力を振り絞り、玉井の左肩に描かれた龍の一枚の鱗に赤色で筆を入れる。お京の切ない女心が何とも言えない。
シリーズとしてはロマンスを軸に描かれた異色の作品で、哀愁の漂う鐘の音で幕を閉じる。
主演は高倉健というよりは寧ろ藤純子とみるべきであろう。
「わしを男にしてくれたのは あんたじゃ」

2023.12 BS12で鑑賞
ゴン吉

ゴン吉