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ALWAYS 三丁目の夕日’64のKuutaのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日’64(2012年製作の映画)
2.7
山崎貴と向き合う③

誰にやれと言われたわけではないのだが、サボっていたらゴジラの公開が迫ってきたので慌てて再開。永遠の0、ドラ泣き1作目、アルキメデスの大戦辺りも見る予定。

・東京タワーの真上まで上がったカメラが先端に近づき、画面から突き出るように迫ってくるところでタイトル。穏やかなBGMとは不釣り合いな、違和感のある映像だ。当時は3D上映があったらしく、3D感を観客に示す演出だったとみられる。当時の流行が時間経過で珍妙な映像に変化したと考えると、ちょっと面白い気もする。

・血の繋がらない養子が「家族」になり、親世代の思いが新たな「子」に受け継がれるという主題が、六ちゃんの結婚や茶川と淳之介の関係といったエピソードを貫いており、オムニバス感の強かった1作目、とっ散らかった2作目よりも、話に統一感(と増量された押し付けがましさ)はある。

ヒロミ(小雪)が産気づき、バラバラに語られてきたキャラクターが協力する場面は一瞬心躍った。五輪万歳!ブルーインパルス万歳!なノリには興醒めしつつも、上記の主題の置き方も悪くないとは思う。

ただ、終盤にかけてキャラクターが次々にテーマを説明し、感情を口にし始める。映像が動かないとこちらの心も動きようがないのだが、と一気に冷めてしまった。堀北真希は引き続き圧倒的にかわいいので、六ちゃんのシーンは楽しい。

・3作通して茶川が好きになれなかった。郵便局員に横柄な態度取るとことか。親父の真意を知った後の大暴れ演技も退屈だし、本人の意思だからと淳之介に小説辞めさせるくだりはどう考えても酷い。あと淳之介の正体、あの設定はかなり無理があると思う…。

・宇多丸さんがタマフル時代に絶賛していた、黒沢清映画の幽霊みたいなCGの通行人は必見。

【三丁目の夕日シリーズの総括】
現代視点で再構成されたテーマパークであり、昭和の空気を知りたいなら当時の名作映画を見る方が有意義だろう、という結論に変わりはない。

3作の中では、1作目が一番良かった。「三丁目」の外にある昭和の暗さ、戦争の影や死の匂いを取り込む気概が僅かながらに感じられ、テーマパーク性がまだ薄い。2作目はコミュニティの閉鎖性が強く一番苦手な作品だが、冒頭のゴジラはとても良かった。3作目は泣かせ要素も盛り盛りに、話をまとめつつ未来に開こうという意図は分かるのだが、単調で退屈だった。
1作目2.8点
2作目3.1点(1.0点はゴジラに)
3作目2.7点
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