MisaSugiyama

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:QのMisaSugiyamaのレビュー・感想・評価

4.2
冒頭。十数年の月日が経っている世界についていけない眠り続けていたシンジくんと、私たちの立場が重なるのは『メメント(2000)』を思い出す演出。

罪というのは難しい言葉。
何かに違反したら罪。誰かを傷つけたら罪。罪の意識というものは、秩序のある世界では必要かもしれないが、その境界線というのは難しく、14歳という価値観のまま目が覚めたシンジくんにわかるはずもないよねぇ。

そして絶望のさせ方もえげつない。
しかしそれだけのことが起こるだけのことをしているというのは、大人になってみるからわかることだったり。

これはエヴァンゲリオンの世界だけでなく、私たちの世界でも何かを正義とすること、つまり『シンエヴァンゲリオン劇場版』のセリフを拝借し、「ヒトは常に希望という光が与えられている。だが希望にという病にすがり溺れるのもヒトの常だ」のようにそれを振りかざすのも恐ろしいことなのです。

そしてそれは自分の中での正義という見せかけの剣になってしまうこともあるのよね。
上手い絶望の見せ方、そしてここからのシンエヴァンゲリオンの展開が非常にシリーズ作品として最高の出来でした。

あっぱれ。
MisaSugiyama

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