爆裂BOX

ザ・インシデントの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・インシデント(2011年製作の映画)
3.6
ジョージは売れないバンドメンバーと共に精神病院のキッチンで働いている。重度の患者達が収容されているとはいえ、高度なセキュリティシステムが完備されているので問題はなかった。しかしある日、大嵐の直撃で停電し、戦慄の夜が始まる…というストーリー。
停電によってセキュリティシステムが崩壊し、患者達が暴動を起こした精神病院に閉じ込められた若者三人の恐怖を描いたソリッドシュチエーションスリラーです。脚本でS・クレイグ・ザラーが参加しています。TSUTAYA独占配給の作品ですが、中々面白かったです。
ストーリーは精神病院でコックとして働くバンドマン3人が突然の停電で暴れ出した患者達に襲われるという物ですが、内容的にはかなりヤバいですね。似たような作品で「ゾンビ・ホスピタル」という作品がありますが、あちらでは新薬の影響で怪物のようになったという理由がありましたが、こちらにはそんな理由はありません。一応、犯罪を犯した人達という設定ですが、精神障害を患った患者達を完全にモンスターの様に描いてます。これが向こうで劇場で公開されたというのは驚きですね。
最初は主人公ジョージたちの日常が描かれ、ちょっと退屈ですが、停電で患者達が暴れ出してからはドキドキさせられます。やっぱり意思の疎通のできない人間というのは怖いです。特に患者達を独房に戻す手伝いを終えてキッチンに戻ったジョージ達がキッチンで大鍋に小便して火にかける患者と遭遇する所は、ニタニタ笑いながら「料理しよう」と言いながら肉切り包丁持って近付いてくる患者が怖すぎました。キッチンから出ていったと思ったら、外からいきなり包丁投げてくる所も怖かったです。
安全に守られていると思った場所が強化ガラスとはいえ、ガラス一枚しか隔てられていなくてそれもアッサリ壊されてしまう所は不安を覚えながらもジョージ達が思っていた「安全」が実に脆い物だったんだと感じさせます。
首チョンパや鼻喰いちぎり、キッチンで丸焼き、指喰いちぎりなどのゴア描写もあります。マックスは一番悲惨な目に遭っていましたね。
そういう設定なので仕方ないですが、ちょっと暗過ぎて画面が見辛いのは残念でした。後、患者達ももっとキャラが立ってたら面白かったかな。もっと組織的に襲ってくるかと思ったらそんな事もなかったのはちょっと残念でした。リチャード・ブレイクがそんな中でも台詞ないながら一際存在感あるキャラを演じていましたね。
ジョージは「彼」が全てを企てたと考えていましたが、暴動がおこった最初の段階で死んでたんですね。最初の日常パートでジョージたちも生活が追い詰められていると取れる描写がありましたが、そうした中で今回の暴動が起きて恐怖と不安から彼らも追い詰められていったのですね。根底にあったのは精神病患者という「自分たちでは理解しがたい存在」に対しての潜在的な不安なのでしょうが。最初の運んでいた肉をうっかり落としてぶちまけてしまうけど、何の肉かわからない「謎肉」な描写や、彼女への電話等、ラストを見るともっと早い段階でジョージの精神は崩壊していたのかも、むしろジョージは最初から…?とも考察できそうですね。
一番冷静に行動していた人物が無傷で助かったのも当然といえば当然ですね。
評判は良くないですが、それなりに楽しめました。