あなぐらむ

裸女と殺人迷路のあなぐらむのレビュー・感想・評価

裸女と殺人迷路(1959年製作の映画)
3.9
殺人迷路は「カスバ」と読ませるそう。
清水将夫と丹波哲郎が顔を揃える正統派強盗映画で、裸女は冒頭にちょいと出てくるだけの大蔵新東宝らしいタイトルセンス。ヒロインを若さピチピチの三ツ矢歌子が演じ眩しい限り。万理昌代は安定のダンサー役。

野球場の売上金強奪と逃走というプロットはアメリカ犯罪小説の様で、追い込まれていく一味の一触即発もしっかり描かれており、ロマンスと老強盗犯の孤独感も盛り込んだ脚本は、川上茂と渡邊祐介のコンビが担当。

城北新地とされる特飲街(亀有?)のセットもしっかりして見応えがある。
冷酷ですぐぶっ放す丹波哲郎と、老獪なプロの強盗・清水将夫の丁々発止はまるで「レザボアドッグス」を思わせ、随所にサスペンスも配されて娯楽映画として申し分なし。クライマックスに台風を置くのもお約束。
破滅していく強盗達を淡々と捉える小野田演出はどっしりしている。