otomisan

顔のotomisanのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.0
 DC-8のNikko嬢の客待ち顔が一番初々しく覚ゆれ... まこと人間界は厄介にて。
 話のおわりの池辺良、京の都で後戻りとは慶喜以来の珍事かと。どちらも後には謎など残して、話の続きと思いはするが、二人の垣根のいや高きに思いを致せば、あっちのすき間でくちづけ交わし、こっちのすき間で手を握り、埒のあく間を待つうちに時代が二人を押し流し忘れ去られて60年。TV放送初と言う、嬉し恥ずかし良・マチ子。
 馬鹿な事でも口ずさみながら、この二人まず一緒にゃあなれまいと感じ、では搦め手伸ばす康子とも、まさかの彗星杏子とも思いはすれど、今ひとつ良の堅物顔がなじまない。世間の耳目が親父の若い後添いまで相続したかと声を潜めつ眺めるさまが想像される今より後の展開に、なかなか二人で一つの行く末までは見えないような見えるよな、いっそ見るのを止めたなら、心置きなく托生を一蓮のウテナに預けて忍ぶ世を渡る風にも浮草の行方知れざる道行ぞ。
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