よしまる

ルチオ・フルチのザ・サイキックのよしまるのレビュー・感想・評価

3.8
 フルチはサンゲリアしか観たことがないので、70年代を遡っていろいろ観ていこうと。

 オープニング、ドーバー海峡へと身を投げる女性が崖の壁面で何度も顔を削られズルムケになる。
 おお、さすがスプラッタの父、芸が細かい!と感心したのは最初だけ。
 俗に言うゴア描写はほとんどなく、タイトル通りサイコなイメージ漂うイタリアンゴシックホラー、要するに典型的なジャッロ映画だった。

 しかしボクはグロを求めているわけではないので(というより基本苦手)、良い意味で裏切られた。フルチがこういうジャッロを撮っているならもっと観てみたいなあ。  
 このジャンルを週1で観たところでたぶん死ぬまでに観きれないだろうけれど😅

 主人公を演じるのはジェニファーオニール。とにかく美女。美女が恐怖におののき恍惚の表情を浮かべるというのはこの手の映画には必須条件で、ぶっちゃけ美女でなければ成立しない。今時のフェミ勢からするとけしからんこと甚だしいのだろうけれど、そういうのは無視に限るw

 この美女が幼少期より透視能力を持っており、そのため幻夢にうなされてしまう。心理学的に透視と言うそうだけれど、いわゆるクリアボヤンスではなく、予知能力。
 このため、夢の中で見た風景と現実が少しずつ異なっているのが面白く、サスペンスを盛り上げる。

 音楽もゴシック。シンセやカリヨンのような音が邪魔しすぎず、そのぶん時計のオルゴール音が印象的。これはサントラ欲しいw
 タランティーノも大好きだそうで、本作でのファビオフリッツィのスコアがキルビルでも使われているらしい。

 美女なれどロマンス控えめ、あくまで硬派に犯人探しに絞られるのがスリラーとしての質を高めており、安易なヒューマンドラマが介入して来ないのがいい。たぶん邦画なら…いや、やめておこうw