shuki

ライク・サムワン・イン・ラブのshukiのレビュー・感想・評価

4.4
!!!


隣人の薄気味悪さは片目が常に影になっていて、片目しか見えていない事に依るのかなと。塩田明彦の映画術参考

話自体不気味だし、それに加えて音響の不気味さと異様な時間の流れの不気味さでひたすら怖い映画。しかし振り返ればこれまで観たキアロスタミの映画どれも怖い。

嘘がバレそうというサスペンスは勿論なのだけれど、信号待ちの停車中に居眠りしてしまうカットを挟まれてからは特に車中のシーンは何か良くないことが起こりそうな気持ちになる。車庫から出るカットもさり気なくも敢えて子供を轢きそうにさせる。だから、終始緊張感があって目が離せない。
終盤はずっとサイレンの音がバックで鳴っていたり、家の中のシーンなのに外の音が聞こえ続けていたり、音響は相当凝ってる。鳴ってる音の数が多い。

冒頭のおばあちゃん関連のシーンは完全に後半へのフリでしかないのだと思うけれど、思惑通り感動してしまう。あそこだけひたすら映画

しかし、『回路』とこれを立て続けに観るのはなんの因果か。ただただ虚を突かれる2本。どちらもなかなか言葉で言い表せないけれど、確実に両監督にしか撮れない、優劣とは違う位置に存在する映画。今後も語られ続けると思う。
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