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ライク・サムワン・イン・ラブのadeamのレビュー・感想・評価

3.5
イランの巨匠アッバス・キアロスタミが日本を舞台に日本語のセリフと日本人キャストで撮った異色のドラマ。
狭いアパートで1人暮らす元大学教授の年老いた男、デートクラブでバイトする女子大生、車の整備工場で働くDV気質のその彼氏、という三者の奇妙な出会いとその結果を描く物語です。
冒頭から大事そうな場面で喋っている人物を映さず、ドラマとして最も劇的になるはずの場面を前に幕を引くという徹底した視界の制限が大いに想像力を掻き立てます。
嘘が積み重なる展開の中、誰にも共感させてもらえず、不穏な気配だけが漂い続けるサスペンスが巧みで、あまりにも自然な三者の芝居が実際に起きたとある出来事を垣間見てしまったような気持ちにさせます。
ハネケほど突き放したスタンスではないですし、ダルデンヌ兄弟ほどどん底を扱ってはいませんが、それらに近い視点だった気がします。
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