YNagashima

ライク・サムワン・イン・ラブのYNagashimaのレビュー・感想・評価

4.1
この人の映画はいつも多義的で、これだという1つの解釈にまとめるのには抵抗を感じる。が、この映画は日本を舞台に、日本人を通して描かれている。そこにはもちろん意味や意図があるだろうから、自分なりに解釈してみると。
現代社会は人をこんなにも利己的にした。利己的な人たちは、自分と言う部屋の中に留まりながら、窓をちょっと開けて外界と交流する。部屋の中は安全で、外界は危険に満ちている。窓を通して交流する人たちは、自分を危険に晒すことがないから、自分の中の合理性や欲求だけで、他者を判断し、評価し、嘘をついて自分の思い通りにしようとする。もしくは見捨てる。そんな、あまりにもタフな認識が、キアロスタミにはあるんじゃないかと感じた。
ラストは・・そんな社会に投じた一石、ということだろうか。タフだ・・。
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