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恋の罪のTのネタバレレビュー・内容・結末

恋の罪(2011年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

社会の規範の中で理性的に暮らす一方で、本能に身を任せた”恋”に取り憑かれる人間の二面性。悪魔の囁きに耳を傾け、衝動的に行動してしまうその不整合と不義を消化できないまま、罪の意識を背負う。

その”恋の罪”が消え、身体を伴って落ち着いたとき、その人は”下品の地”に堕ちていて、ピンク色の塗料を被って汚れている。

ゴダール作品のように観念論の様相を呈してくる。ゴダール作品ほどのカリスマ性や天才性は感じないし、男性的かつ個人的な見方で、「それってあなたの感想ですよね」と言いたくなるが、こういう映画もあっていいとは思う。

日常生活で摩耗した精神が、決して辿り着けない”城”の周囲を彷徨い始める。足を踏み入れたその領域の行く先には愛の介在しない深い闇が待っていて、そこから抜け出すためには死ぬしかないのでしょう。
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