いろどり

スケッチ・オブ・ミャークのいろどりのレビュー・感想・評価

スケッチ・オブ・ミャーク(2011年製作の映画)
4.0
宮古島。島外の人には触れることのできない神聖な行いである神事を記録としておさめた貴重なドキュメンタリー。ミャークは宮古という意味と、現世という意味をもつとのこと。言葉の違いが多く、字幕つきの鑑賞。

独自の文化をたどる宮古島の薄れゆく伝統の灯火を感じることができた。歴史に記されないずっと昔から、島の老人たちが記憶する近年まで。遠い時代に輝いた星の光が時を経てこの地球に届くように、この島ではいまだ古くからの信仰と唄がその姿を残していた。出てくるおばあたちのほとんどは高齢で、受け継ぐ人は少ない。御嶽と呼ばれる霊場で神女(ツカサンマ)たちが神歌を捧げる映像は、神秘的かつ原始的な魅力があった。文化保存の意味で本当に貴重な作品だと思う。

生きることと神への願いと唄はひとつのもの。宮古島では明治まで約266年もの間、薩摩支配下の琉球によって人頭税(にんとうぜい)という過剰な納税義務や絶対服従での理不尽な行為に苦しめられていたとは知らなかった。神歌ではなく古謡の中には悪代官が若い少女を手篭めにすることを憂いたものもあるという。農民や漁師の生活に根差し、ときには精神的支柱になる役割を持つというのは本土の民謡と同じだった。おばあたちの記憶力が良い!カメラの前でいきいきと話し、歌ってくれていた。みんな良い表情をしてる😊

いつか宮古島に行ってみたいと思っていた。島の歴史や文化を学ぶことで、見るもの触れるもの触れあう人々から感じるものは大きく変わる。これは宮古島に行く前にもう一度観たい作品。
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