歌うことは、神とひとつになること
生きる願いは声となり、神に届く
魂のありか、ミャークへの旅
たまにはこんな手作り感のドキュメンタリー。純粋な映画とはだいぶ違うので☆はなし。
沖縄の離島である宮古島に残る島の唄が多く紹介されている。口承されてきた数々の唄は、他の多くの伝統文化同様、後継者が激減している。消え行く唄を受け継ぐ人々の生活が、唄と共にゆったり描かれる。
唄い手の多くは90代。2012年の作品であることを考えると、貴重な文化を記録として残した価値ある資料。
年輪のように深い皺がおばあの人生を物語っているようで、アカペラの深い唄声と共に心に染みる。
過酷な人頭税の苦しみや悲しみの中、それでも人生を楽しもうと生まれた古謡や、神への畏敬の念から生まれた神歌。唄というより、祈りに聞こえてくるものも多い。
独自の文化の灯火は、おばあたちの願い虚しく消えつつある現実。変わり行く時代には抗えないからこそ、映像として残すことに意味があるのだろう。
それでも、貴重な伝統がなくなっていくのはさみしい。
登場するおばあたちが可愛くて愛おしかった。
「私たちは仲良しだよ」
「誰とも喧嘩しないよね」
「私の人生、他の人なら血まみれのイザコザばかりだったはず。夫の遊び女から庭の泥を顔に投げられた時も、いいさ、心の貧しい不自由な方よ、只それだけ。」
「あはははは」
仲良く手を繋いで支え合いながら歩く、二人の老婆の会話が心に残る。