【過去に観た映画】2011.5.28
郷田マモラ原作の
短編漫画「蝉の女」の映画化。
思いのほか、エロい!。
まあ、売春宿「蝉丸」が舞台なので、まぐわいのシーンはあるとは思っていたけど、
こんなに多いとは!
青い果実をもぎとりたい派! 向けのエロス。
でも、あの郷田マモラの絵柄から、こんなエロい
映画に仕上げるとは。
漫画では、遊郭「蝉丸」がメインだったけど、映画では、その五年前にさかのぼって、
夏子の高校時代をメインに描いている。
登場人物それぞれのバックボーンを描き、ふくらませ、より深みのある物語にしていてる。
萩原流行や下篠アトム等ベテランの配役も作品に奥行きをもたせ、いい味わいになっている。
母親の男である「父親」という名のクズ男に無理矢理、「女」にされ、借金のカタに遊郭に
売られる夏子という、昭和な雰囲気漂う設定。
心を殺して、空を見つめながら、男に抱かれる夏子。
愛想もなく、ただ身体を提供するだけのマグロ女だが、
リピーターも多く、夏子はその世界で生きていく。
でも、その中で希望の光を見つけるのだが……。
最低20分の時間の中で、金を払った男が、
「首から上はダメよ」と言う女を抱く。
抱くと言うよりは、排泄なのか。
性を売ること、性を買うこと。
女の性、男の性について考えさせられる。
ラストはとてもせつなく、泣ける作品ではあり、
私の大好きな劇画「愛と誠」的なのだ。
だから、本来なら号泣する展開なのだが、エロい部分が多すぎて、気持ちがそっちにいってしまい、せつなさに感情が入り込めなかったのが残念。
……って、どんだけエロさに没頭してたんだか、私。
いや、ちょっと、その「愛」が唐突であったから、
せっかくのラストの演出がちょっとカタチだけになって
しまった感があるのだ。
タイトルの「愛に溺れて」というのは、ちっょと適切じゃない
気がするしね。
遊郭の五回も不美人キャラ フクコちゃんのAVエピソード
は笑ったが、ちょっと悲しかった。
ダメ男はどこまでいってもダメ男だが、
女を悦ばせるのだけは上手く、時に愛おしく、
女に包容されたりもする「人間」だが、
ダメ人間は、人の心を持たないから、「人間」じゃないね。
メイキングでは、一番悪役の人が一番おもしろくて、
素顔はいい人っぽい、
逆に一番誠実な役柄の人が、素顔はそうじゃなさそうだったり。
映画って、虚構で、あくまでイメージの世界なんだなと
いうことを改めて感じた。
それだけ、リアルさより異質な世界観があふれている
映画だったってことなのかも。