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ひとつの歌のkoheiのレビュー・感想・評価

ひとつの歌(2011年製作の映画)
4.4
間違いなく今年ナンバーワンの映画『ひかりの歌』の杉田協士監督が2010年に撮った作品。東京都写真美術館にて。観られてよかった。

『ひかりの歌』と同じく、すべてを受け入れてくれる映像の懐の深さに救われた。固定カメラでの長回しが多いからか度々のフレームイン/アウトに目がいく本作。誰か(ひとり)を撮るために置かれたカメラに、別の誰かが入り込んでくる瞬間が何度かある。一番顕著なのは、女性が家に帰った後に映る主人公の画面内(いわば彼女の世界)への侵入。しかし、そんな倫理的にちょっと…という場面も、杉田作品のカメラはただそこにあるものとして受け入れてくれるのだ。本作においては主人公もインスタントカメラを手にするものであり、この映画構造との多層性を極めていたように思う。

一番好きなシーン。駅のホームで男女が並び、カメラが横移動したりして最終的に2人が画面に収まる。そこで左右両方から電車が入ってきた瞬間に、ふいに泣きそうになった。

説明的なセリフや映像はひとつもないけれど、わからないことは何もなかった。

ひかりの歌は明日までやってるので見てほしいです。

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子供にだけ饒舌そうなタケちゃんかわいい。「いつ撮ったかわからない」っていうのはどういうことなのか。
21.1.15再見

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22.9.11キネカ大森
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