Myon

思秋期のMyonのレビュー・感想・評価

思秋期(2010年製作の映画)
3.7
内心救いを求めているのに周囲を蹴散らして生きる男。
内心人生に限界を感じつつも取り繕う女。

終盤までテンポの淡々とした映画なのだが、店のシャッター、ハンナと夫の光背のような構図 、ネクタイを締められるのを嫌がるジョセフなど、象徴的なモチーフが多い。結構深読みしようと思えばできる作品だ。原題の、暴君竜とも呼ばれたティラノサウルスの意味は本当に作中示されたものだけなのかなとか。

この映画に出てくるような人間はいくらでもいるだろう。ジョセフの言うとおりその殆どが実行に移さないだけで。
終始勝手な男(たち)とそれを受け止めきれない女(たち)の物語で、2人が出会って心を通わせるというのはご都合主義といえなくもない。でもそのご都合を望んでしまうほどの克明さがこの作品にはあった。出会ったときハンナがジョセフのために祈ったように、後に彼が彼女のために祈るという構成は、視聴者にとっての救済でもあったように思う。
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