リーアム兄さん

アルゴのリーアム兄さんのネタバレレビュー・内容・結末

アルゴ(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【好きなセリフ】
オドネル「これが最高の最悪案。ズバ抜けています。」

1979年イラン。アメリカの策略により成立したパフラヴィー政権がクーデターにより転覆し、ホメイニを指導者とする新政権が成立した。パフラヴィーは政権転覆後に、患っていた癌を理由にアメリカに亡命。アメリカはそれを受け入れた。そのことに反発したイラン国民がテヘランのアメリカ大使館に押し寄せ、11月にアメリカ大使館を占領。アメリカ外務省職員が人質として捕らえられた。しかし、その直前に大使館職員6人が自力で脱出し、駐イランカナダ大使公邸へ避難。当初アメリカ政府はその6人より大使館に囚われている職員の救出を優先したが、救出が難航し、6人の救出に取り掛かることになる。CIAで多くの救出作戦に携わってきたトニー・メンデス(ベン・アフレック)はこの救出作戦のリーダーとなり、「アルゴ」という架空のSF映画をつくり、ロケハンとしてイランに入国。カナダ公邸に匿われている6人を撮影クルーという設定にし、出国するという「ハリウッド作戦」を実行する。果たしてメンデスは無事に6人を救出することができるのか。

2度目の鑑賞。たまたまネトフリにあったのを見つけて、内容も完全ではないけど、忘れてたこともあって、また視聴。

1979年から1980年に実際に起こったイランでのアメリカ大使館襲撃事件に基づく映画。
アメリカ大使館の襲撃シーンから始まり、カナダ公邸への避難、CIA本部での作戦会議、救出作戦の関門となるイラン各組織のチェックなど、終始ドキドキハラハラする内容。
アメリカに対する反感が爆発した地域からアメリカ人を脱出させるという超絶緊迫するテーマにも関わらず、その作戦のメインが「架空の」映画制作ということもあり、偽の映画を作る準備をするシーン(脚本の版権獲得、ポスター制作、台本読み合わせなど)がとてもコミカルに描かれていて、そこのギャップが面白い。
なによりも現地にいるメンデスやCIA本部で作戦指揮を取るオドネル(ブライアン・クランストン)、職員を匿っているカナダ大使であるケン・テイラー(ヴィクター・ガーバー)や他の職員達は終始緊迫した表情をしているのに対して、架空の映画制作に関わるレスター(アラン・アーキン)やチェンバース(ジョン・グッドマン)は少しおちゃらけた雰囲気を出しており、それがまたいい味を出している。

架空の映画制作で人質を救出するという、まさに「映画のような」ことを実際にやってしまうところがなんかアメリカだなぁって感じた。
ここまで大胆不敵な作戦を成功させたのにもかかわらず、国際情勢やアメリカへの影響を考慮して、あくまでもアメリカは携わっておらず、CIAも何もしていないというスタンスを取らないといけないのが、気の毒というか、プロだな。
またカナダ大使の勇気もすごい。見つかったら共謀罪で自分も処刑されるかもしれないのに、救出されるまで匿い続けてくれたからこそ、この作戦が成功したと思う。
だからこそ表向きにはカナダ主導の救出作戦という見せ方になっているけど、イランはカナダに報復するって表明しているし、なんかそんな役回りをしている気もしてしまう…

ベン・アフレックが監督、主演で文字通り「自分の映画」にしているが、そこまでザ主人公・ヒーローではなく、家庭では別居中で少しくたびれている平凡な男性として演技をしており、改めてこういう男性役似合うなぁ、と思った。