1979年のイラン革命時の在イランアメリカ大使館人質事件を題材にした作品です。
以下少し長くなりますが、人質事件の説明です。
革命前のイラン国王は、親欧米路線の近代化政策と
イスラム教の弾圧を進めていたものの、
反対勢力の台頭に身の危険を感じたのか亡命しアメリカに入国。
代わってシーア派原理主義のホメイニーが実権を握ると、
イスラム法学校の学生らが国王の身柄引き渡しを求めて
在イランアメリカ大使館に大挙して占拠。
大使館スタッフやその家族52人を人質として、
1年間以上拘束するという歴史的事件がありました。
で、本作は、上記事件の人質として拘束される前に、
アメリカ大使館からカナダ大使公邸に逃げ込んだ6人の大使館スタッフを、
CIAが「アルゴ」という仮想の映画をでっち上げ、
映画撮影クルーに偽装して救出するという、
映画みたいな本当の話を実際に映画化しましたという作品です。
何度も言いますが、映画みたいな、驚くべき実話なのですが、
いざ映画にしてみたら、思いのほか驚きが得られなかったなぁ
というのが率直な感想です。
あくまでも主役はCIAの彼と大使館員で、
メインはシンプルな救出劇なので。
この歴史的背景ならではの、深みがあまり感じられません。
相手がイスラムだと深みに嵌まれないのも分かりますが。
大使館員達が占拠される前にシュレッダーにかけた書類を、
イラン側が子供達を使った人海戦術でサルベージするなど、
ちょっと面白い描写があったりはするのですが。
まあまあ、そこそこスリルを楽しめる作品にはなっているかと思います。