久しぶりに鑑賞。
クローネンバーグの映画ってだけで、敷居が高くなって何を書いていいか迷う。
特筆すべきはキーラ・ナイトレイの変顔…というか、賞を取って然るべきの身体を張った演技だろう。美しいと同時に知的な側面を併せ持った女性を演じ切っていると思う。
その点、泣き演技が板についたマイケル・ファスベンダーと『イースタン・プロミス』や『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に続くクローネンバーグとのタッグで、今回は頭の固いフロイトを演じたヴィゴ・モーテンセンは少し物足りなさを感じる。
というか、クローネンバーグの映画は長年、女性への恐怖が露骨に出ていたこともあり、ここまで女性への畏敬を描けていただけでもこの映画は彼の映画人生で重要な分岐点となる映画だったようにも思う。今までクローネンバーグの映画で女性の演者や登場人物に注目したことなかったのでは…
ユングの愚かさを認めつつもザビーナへの愛は純粋だったとし、権力へ固執したフロイトとユングを対比させて、愚かながらも何も否定しなかったユングを好意的に描いている。クローネンバーグの変化を感じた映画だった。