コブラ

危険なメソッドのコブラのネタバレレビュー・内容・結末

危険なメソッド(2011年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

心理•精神分析の大家を特異な観察眼をもつ映画監督が分析。

「ヒストリー•オブ•バイオレンス」「イースタン•プロミス」の後に何故こんな伝記文芸メロドラマを...という戸惑いと、キーラ•ナイトレイの過剰(に感じた)演技に鼻白んで完走せずGEOの返却ポストにダンクかましたのが10年くらい前。

以来の鑑賞だけどDVDわざわざポチって鑑賞したんだから未完走の罪も浄化されたやろ。

ユングとフロイトの接近から決別まで。そのほぼ中心にいたザビーナ•シュピールラインを交えた三者の“秘密のシンメトリー”関係をダイジェスト的に描く。

ユングとザビーナの多重関係ドロドロメロドラマかと思っていたら、ユングのグラグラメンタルを意地悪に楽しめてしまう作品でしたかね。

ユングが施した治療(フロイトの談話療法)により知性の発揮と性衝動を解放されたザビーナはユングを誘惑する。一旦は固辞したが、オットー•グロスのサタンの囁きに後押しされてコロリと逆転移。全くちょろいヤツである。フロイトへの手紙でも「あれは治療の一貫で💦」みたいなことを言う往生際の悪さに笑う。

フロイトとの相反過程は淡々と描いてるけど所謂「往復書簡」のやり取りは、自分を認めてくれないフロイトへの恨み言を慇懃無礼にしたためていてオヤオヤとなる。フロイトの文面も権威を守ろうとするアナルの小ささが窺い知れますが。

もちろんユングにはユングの言い分もあるだろうし、ザビーナも中々のメンヘラムーブかましているし、フロイトは権威主義だし、で誰が悪いってかって話しではない。
患者の心理に日々向き合っていた彼等が、自分には中々向き合う事ができない。というやや意地悪な視点が面白かった。





追記
ユング✖️ザビーナの関係を的に後押しするオットー•グロス(ヴァンサン•カッセル)だけど、薬物中毒の性解放マンで実際マジでアナーキーな人だったとのこと。こんな人に背中押されたらそりゃユングも一線超えてしまうわなぁ。
なんてシネマテイィツク!
コブラ

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