くりふ

009 RE:CYBORGのくりふのレビュー・感想・評価

009 RE:CYBORG(2012年製作の映画)
3.5
【脳内神との闘い篇】

トンデモ映画との噂も聞き、恐いもの見たさで行ったらなんだ、面白いじゃん!

確かにオチは口あんぐり。そういうことなの、ねッ!(はぁと)とフランソワおば…お姉さんに断言されても目が点から戻らず、エンドロールの間中ふしゅ~と空気漏れしてました。「脳のはなし」迄で留めて、まとめてくれたら悪くなかったのになあ。

科学/文明が進んでも、それに圧迫されゆく人間は行き場を失い、かえって迷信に溺れ暴走する。ここまでの骨組みは面白かったです。

が、その先の理屈が肉付けされてないので、ふ~ん、で終わってしまいます。飲み屋で、学生の議論を聞かされているよーな気がなきにしも、でした。

ホント、「脳のはなし」をもっと突き詰めてくれれば熱中できたのに。それなら、『攻殻機動隊』の根底にあったテーマ…人体を機械に置き換え、脳もそうしていけば最後に、人間は何が残るのか?…という、神山監督も長く関わったろう謎と、神という仮定とを絡めより遊べたと思う。

島村ジョーが散々『ビューティフル・ドリーマー』した後で、静かに脳暴走してしまう件なんて、突っ込み甲斐あると思うんだけどなー。

攻殻シリーズを経た上でここへ来た、という流れは納得できましたけどね。押井さんからバトンタッチされた企画で、攻殻よりは肩の力を抜き、今まで積んできたもので横展開のように作ってみた、という感じでしょうか。

サイボーグさんには、まず実年齢を考えて始めてしまい、混乱しました(笑)。

お目当てだったフランソワーズさん、実際は熟女越えて枯女でねーすか?フルCGなのに黒下着フェロモンがアルヌールしていてお見事でしたが、私だけまた3年、歳とっちゃったわねウフ…とか可愛ぶってもあんたその姿、どんだけサバ熟読してんすか!まるで疑問に思ってないらしいのが怖い。

因みに実際のフランソワーズ・アルヌールさんは(当時)御存命で、御年81歳です。ところで、彼女のサイボーグエロスは何処から来たのか思ったら、キャラデザが麻生我等さんと知り、ものすごく納得しちゃいましたよ(笑)。

オトナの男顔したキャラは、すんなり3DCGに移行できていましたね。丸っこい顔のキャラは違和感あり。001なんて別の映画のゲストみたい。

で、考証がゆるくても、テレポートの回数制限くらいは事前告知ほしかった。あ、009の加速装置の使い方は、ちゃんと専守防衛していて感心しました(笑)。

実写も含め、現在進行形の事象に沿ったエンタメを作れる人って少ない。そんな意味で、まだまだ骨が弱いけど、神山監督には今後も期待します。

他にも色々、感じたことはあるのですが、長くなるのでこのへんで。

<2012.12.7記>
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